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 前項(3)・(4)・(8)では、付加体成立よりもはるか後世における正断層発生後の、波浪浸蝕や風化に弱い泥岩部分の欠落による、海食洞犬岩ファミリー(※)の成立をご説明。※印は、「~その1」の注釈を参照。
 台風も過ぎ去り、今日は波が穏やかで、お客様が海食洞覗き込んでも安心でした。

 前項(6)と(7)では、ここからスタートし屏風ヶ浦の名洗漁港を越えて大谷津辺りまで続く、火砕流火山灰に由来する名洗層をご説明。

 前項(9)では、銚子が北限の、黒潮で運ばれた暖流性植物をご説明。犬若岬の北風を遮る崖下には、イソギクの群落が大きく成長中、春に花が終わったヒゲスゲも新葉を展開しています。この何れも、北風を遮る崖下がお気に入りです。

InuiwaKiki01611 今回は、半夏生(7月2日頃)も近く、犬若岬の植物も繁茂してきたので、植物解説の比率を高めてご案内するためもあって、犬若岬の上部=”本家の台”(
通称)を、オプショナル・ツアーに加えました。
 ここは私有地なので、予めご近所の2軒のお宅に、裏山へのツアー立ち入りの許可を取りました。

 麓は名洗層+関東ローム層に覆われ、崖地植物が繁茂しています。これも銚子を北限とするハチジョウススキが群落をなし、お客様に葉の柔らかさを、触って確認して頂きました。

 一段目の台地上に出ると、南に海が開け、波に洗われる岩には釣人が見えます。野芝の中に、ジュラ紀の岩が顔を出しています。一部の岩は、含有鉄分が酸化して、赤褐色になっています。

HigesugeHamabosu0072 さらに登って崖の頂上に出ると、南は太平洋が一望の絶景で、数km先に、洋上風力発電のクレーンも見えます (写真右上)。
 西に目を転じれば、屏風ヶ浦の全景を遠望できます。黄色っぽい名洗層、白く光る飯岡層、赤味を帯びた香取層と、西へ緩く傾斜した連なりが、堆積岩による地層のお手本として、確認できます。

  若岬の崖下に目をやれば、犬岩の後ろ姿が、克明に見えます。なんと、首に大穴が開いて、そこから落ちた岩が幾つも、肩口に転がっているではありませんか!
 写真
左上は、クリックで拡大します。

 頂上部では、ジュラ紀の硬砂岩の僅かな隙間に、ソナレムグラヒゲスゲ、タイトゴメが、しがみつくように葉をつけています(写真
右下)。黒潮の暖かさ、遮る者のない日向、過酷ながらライバルの少ない環境。。。これらの植物がこの場所を気に入った理由は何でしょう?
 
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  名洗層+関東ローム層が残っている場所では、テリハノイバラが、バラ園で見せる直径8~9cmの花とは違い、直径2~3cmの白い小花をつけて、今を盛りと咲いています。このバラは鋭い棘で身を守るとともに、低く這う蔓と横張り性の根によって、脆い火山灰層を崩壊から守っています。多少、土が多い部分では、ノアザミの鮮やかな赤紫が目を惹きます(写真左下)。 
 雨風の日には危険で近づけない犬若岬の頂上部ですが、僅かに雲のある穏やかで暑過ぎない晴天は、珍しいオプショナル・ツアーを成功させました。