伊豆半島ジオパーク_訪問記(上)

 9月4日(木)~9月6日(土)に、千葉科学大学 安藤研究室が主催し、「銚子ジオパーク推進室」(以後、「推進室」と略称)と「銚子ジオパーク推進市民の会」(以後、「市民の会」と略称)が参加して、「伊豆半島ジオパーク」への視察が、2泊3日で行われました。
 参加者は、安藤研究室から3名(安藤教授と学生2名)、推進室から専門員1名、市民の会から3名(副会長含む)の、計7名(男性5名・女性2名)となりました。
 うち、6名は千葉科学大学のバンに同乗し、1名は電車で訪問しました。

JakarandaEd 往路の大学構内から大室山のリフト前(伊東市富戸)までは、県道254号⇒(中略)東名高速(中略)国道135号(中略)県道351号の255km強(約5時間)。
 2日目昼の伊東市役所から修善寺総合会館(伊豆市)までは、国道135号⇒県道12号⇒県道59号⇒県道12号⇒国道136号の24.1km(約50分)。
 2日目夕の修善寺総合会館(伊豆市)から伊豆長岡温泉は、県道18号⇒国道136号県道130号の8.5km(約10分)。
 3日目朝の伊豆長岡温泉から「楽寿園」(三島駅前の市立公園)までは、修善寺道路国道136号県道130号の11.9km(約25分)。                <図1.ジャカランダの花>
 復路の楽寿園から大学構内までは、県道21号新東名高速(中略)県道254号の240km強(約4時間)。
 各ジオサイト間の移動を含め、終始、バンを運転された安藤教授に、厚くお礼申し上げます。

 熱海から伊東へと進み、国道135号線が渋滞している時、道路の山側には、ジャカランダ(ノウゼンカズラ科)の並木がありました。特徴ある鳥の羽のような葉の間に、所々花が残っています。花盛りは6月下旬くらいでしょうか?なんと1本だけ、青紫の花を満開に付けている木を発見し、つい嬉しくて騒いでしまいました。

 伊豆半島ジオパーク(以後、すべての「ジオパーク」表現を「GP」と略称)は、銚子GPと同じく2年前にJGN(日本GPネットワーク)によって正会員に認定された同期のGPながら、認定の直後から、「ジオパーク検定」を実施したり、資格を持った専門ガイドによる有料ジオツアーを実施したり、火山岩の諸形態を象った「ジオ菓子」を販売したりして、数あるGPの中でも優等生と見做されています。
 また、伊豆半島GPの説明板・パンフレット・HP(ホームページ)についても、分り易く優れた内容と、統一感のある洗練されたデザインは、銚子GPにとって、学ぶところが大きいと思われます。
 更に、伊豆半島GPは、この夏、世界GPへの日本からの候補として、JGNによって推薦されています。

相模湾遠望_1206Ed 視察1日目は、午前中を移動にあて、午後2時~6時に、「大室山~城ケ崎~一碧湖」ジオツアーに参加し、午後6時半には、溶岩洞窟ジオサイトのある旅館に投宿の予定です。
 1日目のジオツアーでは、伊豆半島GPの優良(有料)ガイドさんによる案内がありました。

 「4000年前に噴火した火山のスコリア丘」と解説された大室山では、バリアフリーに向けて、遊歩道の拡幅工事が進んでいました。               <図2.大室山から相模湾遠望     頂上から南側を見下ろすと、奥の矢筈山との間で、大室山からの溶岩流が作った堰止湖を干拓したという、「池」集落の西側の水田が、色付いた稲穂を見せています。
 「この山には何故、木が生えていないのでしょう?」という問には、「毎冬の山焼き」という回答がありました。
 後から分った話では、大室山=池地区の入会地は、(萱葺き屋根の時代には)萱刈場だったそうで、今では、この地区が立ち上げた会社が大室山リフトを運営しているそうです。
 江戸後期に全国を測量した伊能忠敬測量隊は、第9次測量で2回目の伊豆測量をしています(70歳になった伊能忠敬自身は参加せず)。この時、池集落に立ち寄り、『伊能忠敬測量日記』は、「文化十二(1815)年十二月一日。八幡野村から池村山湖畔」と記述しており、この時代には未だ湖だったことが分ります。
 因みに、第2次測量で訪れた銚子には、昨年、『伊能忠敬銚子測量記念碑』が建立されました。

 次に、「大室山から相模湾に流れ出した溶岩流が作った」という城ケ崎に移動しました。
 ガイドさんは健脚で、アップダウンの多い道が延々と続く、城ケ崎に至る長い遊歩道を、どんどん、先頭に立って歩いて行かれます。
柱状節理_1216Ed 雑木林が途切れる所では、眼下に砕ける白波が岩を洗っており、ここでは複数のスタッフが、夭折した鎌倉三代将軍=源実朝の短歌を思い出しました。
    大海の磯もとどろに寄する波 割れて砕けて避けて散るかも
                       源 実朝 『金槐和歌集』 所蔵

 荒々しい礫浜の手前に、ハマゴウが青い花を付けていました。銚子では砂浜を匍匐する背の低い草ですが、ここでは1m以上の草丈で群落を作っています。
 城ケ崎付近の海側では、見事な柱状節理が見られます。これは、溶岩流    <図3.遊歩道から見る城ケ崎海岸  が海水に触れて冷却された結果、溶岩に多角形の亀裂が入って、六角柱をはじめとする多角柱状になったものだそうです。
 「門脇吊橋」に近い岩場から直ぐの、海食でできた「つばくろ島」には、アマツバメのコロニーがあり、ほんの1週間前まで、営巣していたそうです。
 吊橋近くの岩場に腰を下ろしていると、イソヒヨドリが啼きながら頭上をかすめ、陽の傾いた遠い洋上では、オオミズナギドリが海面すれすれを飛び交っています。
 今回のガイドさんは、本来、鳥を専門にされているということで、特に鳥の解説で精彩を放っておられました。 
 先述の『伊能忠敬測量日記』は、「十二月三日。晴天。富戸村止宿を出立」し、やがて門脇鼻に到達し「右一町余沖燕島周一町計」と記述しており、この時代、既にアマツバメが営巣していたようです。

 
1日目のジオツアー、最後の見学地は、「10万年前の水蒸気マグマ爆発によってできた火口湖という、一碧湖、および、その双子の沼池です。
蝦夷ミソハギEd 調査の結果、この時の噴火によってできた火口は、一碧湖や沼池だけでなく、北西-南東方向に5つの火口列が並んで同時に起きた、割れ目噴火によるものと分っているそうです。
 アシやフトイが繁茂した沼池を遊歩道から見下ろすと、巨大な鯉が沢山泳いでおり、その合間を縫って中型の亀が何匹ものんびりと泳いでいました。
 貴重な湿生植物の宝庫だという沼池の、遊歩道の近くでミソハギに似たピンクの花を付けているのは、ガイドさんが配布されたガイドマップによれば、エゾミソハギだそうです。                                     <図4.エゾミソハギの花        この「一碧湖」ガイドマップは、今回のガイドさんが編集されたものだそうで、素晴らしいガイドさんだと思いました。
 「一碧湖」に限らず、伊豆半島GPのマップやガイドブックは、掌サイズに折り畳めるものが多く、使い勝手を良く考えて作られています。
 
                 
      文責 :  伊豆半島GP視察に参加したHP&ブログの担当スタッフ  in  銚子ジオパーク推進市民の会

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