宿泊型ジオツアー

春の山陰海岸ジオパーク訪問記

 春の山陰海岸ジオパーク訪問記

◎香住海岸の足跡化石_3282
<図1.ガイドブックを見ながらの足跡化石探し
右側の人が胸に刺しているのは日本水難救済会の「青い羽根」、香住の遊覧船の埠頭で募金

 
  3月31日、市民の会有志で「山陰海岸ジオパーク」を訪問し、ほぼ一日、事務局の今井さんに車で案内をして頂きました。

前日の午後4時過ぎに京都駅から福知山線に乗り、豊岡、城ノ崎を経て、香住駅に着いたのは午後8時少し前でした。

⑧三姉妹船長にインタビュー_3277Ed矢田川河口の民宿の部屋からは、眼前に香住湾の漁火が見えて、旅情を誘います。
 
民宿のご主人のお話では、自慢の岩風呂の岩は、先代とお二人で、
「湯村温泉」近くの岸田川の川岸から切り出して運ばれたものとか。
見事な岩を鑑賞しながら、豊富な湯量の湯舟に身を沈めました。
 
翌日、朝風呂に入った折に坪庭を見ると、花の直径が10cmを超える深紅の椿が満開でした。ロビーへ降りる階段の踊り場から見える山側には、梨の新芽が伸びていました。
<図2.「三姉妹船長」にインタビュー  香住は梨の名産地で、「二十世梨」の生産量は兵庫県内一位だそうです。梨栽培と民宿を兼業している農家もあるそうです。

⑥香住海岸クルーズ_海食洞_3264Ed

31日のジオツアーは朝一番が『香美町海の文化館』で、今井さんから、ジオだけでなく、ジオと人との関わりを中心にした解説を聞きました。

  10日前に春の漁を終えたばかりの松葉ガニ(ズワイガニ)は大陸棚の底引き網で獲り、一方、9月から5月まで解禁の香住ガニ(ベニズワイガニ)は深海にカニ籠を沈めて獲るそうです。カニ籠の底には、子ガニだけが出られる穴が開いており、資源保護に配慮しているようです。
②香住海岸クルーズ_流紋岩_3242Ed  但馬の山では、かつては棚田で鋤を引いていた但馬牛=黒毛和種の繁殖を専門に行い、子牛のうちに肥育  <図3五色洞門のエメラルド色の海
地に送り、これが松阪牛や神戸牛
になるそうです。
         
 次いで香住湾の遊覧船に乗り、春には珍しく鏡のように凪いだ湾に出ました。操舵とガイドは「三姉妹船長」。親子二代の三姉妹6人が交代で、三隻の船の船長をしているそうです。中学時代以来のガイド
  <図4.国指定天然記念物「鎧の袖」>  歴は40年、岩礁地帯で難しい操舵をこなしながらの見事なガイドぶ③香住海岸クルーズ_流紋岩_3243Ed 
です。
  洞窟に差し込む陽光次第で内側の海面の色が様々に変化する「五色洞門」や、縦横に走る亀裂が武士の鎧の草摺りに似ている「鎧の袖」
、頭に羽飾りを付けたアメリカ原住民の横顔にそっくりの「インディアン岩」(鷹の巣岩)など、海側からしか見えない珍しい岩が次々に現れるので、デッキや船内を忙しなく移動して、見逃すまいと必死になりました。
 特に「鎧の袖」は、約1千万年~3百万年前の火山活動によって成されたもので、マグマが急冷されてできた流紋岩質デイサイトと <図5遊覧船の甲板から「鎧の袖」を見る⑨香住海岸の足跡化石_3278Ed
凝灰岩より成る柱状節理や板状節理を、これに直交する15本の平行な亀裂が横切る様子が貴重で、国の天然記念物に指定されています。

    船を下り、先ほど海から見えた崖地に行くと、約2千万年前の、日本海になる直前の「古香住湖」の湖底の砂岩泥層に残された流痕化石がありました。
    下浜の海岸では、「古香住湖」周辺の砂泥層に残されたシカ・ゾウ・ツルの足跡化石を、ガイドブックを見ながら探しました。
    <図6.シカの足跡化石を確認> 
⑰青竜洞Zoomin1_3305Ed
 午後は豊岡に出て、円山川東岸の丘陵地に登り、『玄武洞公園』に行きました。ここは、玄武岩の名称由来の地であるとともに、「松山逆磁極期」として知られる地球の磁極反転を松山基範博士が発見した地でもあり、国の天然記念物に指定されています。
 ここで、約160万年前に噴出したマグマが急冷されてできた柱状節理を見学しました。5つの洞窟のうち、石切り場跡が洞窟になった「玄武洞」と、流れるような柱状節理が見事な「青龍洞」の2つを、公園のガイドさんに案内して頂きました。             <図7.青龍洞の柱状節理を案内するガイドさん
 
⑱コウノトリ公園_3310Edジオツアーの締めは、丸山川の護岸工事と農薬によって絶滅した、
コウノトリの復活に取り組む『コウノトリの郷』公園です。
ニジマスを給餌する時間に合わせて訪問したため、園の内外から数多くのコウノトリが集まっています。
 お零れにあずかろうと、アオサギやトビ、カラスまでも待ち構えています。
 傍らの『コウノトリ文化館』では、放鳥後の追跡状況を掲示しており、千葉県では野田と夷隅の田圃に飛来しています。
<図8.「コウノトリの郷公園」で給餌の準備>    追跡状況が掲示されている地図を見ていて気付いたのですが、銚子は豊岡のほぼ真東に位置しています。銚子までは、大柄なコウノトリとっては一っ飛びの距離かもしれません。農薬の流入しない湿地があれば、銚子にもコウノトリが来てくれるかも知れないと思いました。

            【謝辞】 山陰海岸ジオパーク今井様 : 図1~図8の写真について、
                         使用許可頂き、どうも、有難うございます。
           文責編集 :   HP&ブログ担当 in  銚子ジオパーク推進市民の会
 

「伊豆半島ジオパーク」訪問記(下)

伊豆半島ジオパーク_訪問記
                              
≪ (中)からの続き ≫
 
 視察3日目は、午前は、かつての伊豆国府で「三嶋大社」の門前町でもある三島宿に着き、「三島市内」ジオツアーに参加し、午後を移動にあてる予定です。
 3日目のジオツアーでは、伊豆半島GP推進協の地学の選任研究員の方による案内があり、静岡県から出向されている方も同行されました。

 三島駅前の「総合観光案内所」にある、「三島ビジターセンター」を訪れると、三島の土と相性が良いメイクイーン種のジャガイモで作った三島コロッケの紹介があり、後ほど、市内のお店で頂くことになりました。

楽寿園_溶岩小洞穴Ed 駅前の横断歩道を渡ると、旧小松宮親王の別邸を引き継いだ市立公園  「楽寿園」です。 ここには、1万4000年前の富士山の噴火に伴う、三島溶岩流が至る所に顔を出しています。解説を聞くと、「縄状溶岩」の流れた方向が分るようになりました。
 園内の林の中では、流れ出した末端部の溶岩の温度が下がって固結する前に、後ろから押されて盛り上がってできたとされる「溶岩塚」や、溶岩塚が形成される時に、溶岩の内部に溜まったガスが溶岩層を押し上げてできたとされる「溶岩小洞穴」も、見ることができました。
 「楽寿館」の前に広がる「小浜池」や、「中の瀬」では、今年は水が引いて    <図9.森林内の溶岩塚溶岩小洞穴  しまい、気泡の多い玄武岩質の溶岩がゴロゴロしています。研究員の方によると、30cm掘れば水が出てくるそうです。資料によれば、3年前の9月には水深1.7mを超えていたというので、少し残念です。

源兵衛川Ed 楽寿園を出て、源兵衛川の中の遊歩道を歩きます。源兵衛川の源流は、楽寿園内の「中の瀬」の湧水だということですが、「中の瀬」が干上がっている時に、源兵衛川には綺麗な水が豊富に流れており、標高の差なのでしょうか?少し不思議な気がしました。9月とはいえ、まだ暑い昼前の時間帯、親子で水遊びをしている川中の様子に、幼い頃を思い出しました。

 川から上がり、有名なうなぎ屋の前を通ります。ここのウナギは、浜名湖などの産地から取り寄せたのち、三島の湧水にさらして臭みを抜くので、格別   <図10.源兵衛川の川中の遊歩道    に美味しいそうです。

三嶋大社拝殿Ed 大通りを下ると、鬱蒼とした森に囲まれた、伊豆の国一ノ宮の「三嶋大社」に着きます。延喜式に記載のある「伊豆三嶋神社」は当時、白浜(下田)にあり、平安時代に三島に遷座したそうです。
 入口の鳥居の脇に、伊豆半島GPの説明版があります。
 三嶋大明神として、二柱の祭神=大山祇命と言代主神を紹介したあと、大山祇命の娘=此花咲耶姫命が、富士山信仰の浅間神社の祭神として祀られていること、(富士火山帯の)伊豆諸島には三嶋大明神の妃神達が祀られていることを紹介しています。
 火山に対する古代人の畏れが三嶋大明神への信仰となり、三嶋大社      <図11.三嶋大社の拝殿>       の歴史の中に息づいていることが分ります。ジオと人との関わりを歴史の中に探る時、古代から続く神社や寺は、貴重な指針を与えてくれる場合が、数多くあると思います。
 境内の「神池」は、楽寿園の小浜池と違い、かなり水量がありました。この池の水源は、「三島宮川用水」の「幸原堰」というところにあり、三嶋大社の大鳥居と本殿を結ぶ一直線上の北に位置しているそうです。

三島の桜川Ed 
三嶋大社を出て、「白滝公園」を目指し、カルガモが泳ぐ清流「桜川」沿いの道を辿ります。ヤナギの並木になっていますが、初秋の昼日中、暑さに負けそうになっても日陰はありません。
 桜川の源流となる湧水は、白滝公園や「菰池」にあるそうです。
 ここの遊歩道には、三島に所縁の文学者の碑が幾つも並んでいます。井上靖、太宰治、司馬遼太郎、若山牧水、正岡子規、宗祇、大岡真、等々。中では、太宰の解説が具体的で、気に入りました。
 溶岩の露頭が多い白滝公園の入口では、三島の建築士協会がプレゼント<図12.水底の水草も透き通る桜川の清流> したカラクリ人形「めぐみの子」が、人感センサー付きで水を汲んでいます。
 楽寿園の入口まで戻り、人気のある蕎麦屋で、楽寿園の庭を見ながら二八蕎麦を頂き、三島市内ジオツアーを終えました。
 半日、三島を案内して下さった伊豆半島GP推進協の皆様、どうも有難うございました。 
 
   文責 :  伊豆半島GP視察に参加したHP&ブログの担当スタッフ  in  銚子ジオパーク推進市民の会
 

「伊豆半島ジオパーク」訪問記(中)

「秩父ジオパーク」訪問記(中)
                                               
≪ (上)からの続き ≫
  
 視察2日目、午前中は伊東市役所内で会合、午後は修善寺(伊豆市)に移動して、夜半まで会合に参加し、もう一度移動して、21時以降で伊豆長岡に投宿の予定です。

 伊東市役所内では、伊豆半島GP推進協スタッフによる運営体制の解説と質疑応答。説明側として、地学の選任研究員1名、静岡県からの出向者1名、伊東市からの出向者1名が参加されていました。

 将来は「伊豆学」を目指すという、教養的な意味合いの濃い「ジオパーク検定」と、それとは性格の異なる有料の「ガイド養成講座」の合格者から成る有料ガイドによる「伊豆半島ジオガイド協議会」の在りようは、よく練られたものと思われました。
 伊東地域の火山群を研究していた静岡大学の教授による地方紙への連載コラムがきっかけとなり、静岡県知事や伊東市長も意気投合して、GP運動が始まったことも伺いました。
 
修善寺橋Ed トップダウンでもボトムアップでもなく、ミドルからのアップ⇔ダウンとして機能する推進協のユニークさは、多くの市町を抱える伊豆半島GPには、必須の形態なのかも知れません。推進協のフットワークを軽くしそうな、この組織形態は参考になります。

 昼食は市役所8Fの食堂で、伊東湾を見下ろす絶景を堪能しました。
 この後、箱根と天城の山峡を通る冷川峠を越え、太平洋に注ぐ川の中では唯一の北上する川=狩野川の中流部に掛かる「修善寺橋」を渡って、午後の会合予定地=「修善寺総合会館」を目指しました。                              <図5.修善寺橋下流の狩野川

 2日目午後2時~は、伊豆半島GPのガイド協会の会合に、銚子からのスタッフがオブザーバーとして参加の予定と聞いていましたが、何か手違いがあった模様で、この会合には参加できませんでした。
 この後、市民の会のスタッフが1名帰宅し、総勢6名になりました。

 銚子からのスタッフは、急遽空いた時間を使って、狩野川上流へ向けて下田街道を南下し、湯ヶ島を越えて、小説や歌にその名を知られた『天城越え』に登場する「浄蓮の滝」ジオサイトを、独自に訪問しました。
 浄蓮の滝は、狩野川上流の本谷川に掛かる滝で、滝の岩盤には、綺麗な柱状節理が、カーブを描いて並んでいるのが見えます。
 滝の南東1kmにある鉢窪山は、1万7000年前に噴火した火山のスコリア丘で、その麓から流れ出した溶岩流が、本谷川とその支流=岩尾川が刻む険しい谷を埋め立て、この溶岩台地を流れる川が、滝となって落下するのだそうです。
 今年の中伊豆は少雨と聞いていましたが、滝は見事な水量で落下しており、周辺のハイコモチシダもワサビ田も元気でした。 
 若い頃に来た時は苦にもしなかった、ここの谷底からの登り階段で息切れし、後から来た学生さん達に追い越されました。

天城九制木Ed 滝からの帰途、下田街道を更に南下し、道の駅「天城越え」内にある「昭和の森」会館を訪問し、建物入口を入る前に、背景に広がる「天城山昭和の森自然休養林」の天然林の魅力に圧倒されました。
 天城山は、幕府の天領⇒戦前は皇室御用林として、「天城九制木」=杉・松・桧(ヒノキ)・欅(ケヤキ)・楠(クス)・椹(サワラ)・樫(カシ)・樅・(モミ)・栂 (ツガ)を定め、これらを伐採禁止にして、森を保護していました。この9種の   <図6.天城九制木の樹木標本>    樹木標本が展示されています。

枯野船模型Ed 古事記に登場の古代船「枯野(カラヌ)」、または日本書紀に登場の伊豆国の「軽(カルノ)」の模型も展示してあります(1/5に縮尺して長さ3m)。
 良質の船材=楠を神木とする「軽野神社」(修善寺に近い)に楠を集積し、軽野あるいは船原(湯ヶ島に近い)で船を造り、狩野川から駿河湾まで運んだと考えられているそうです。それが狩野川の由来となり、カヌーの語源となったいう説もあり、夢が膨らみます。                       <図7.古代船「軽」の模型  

鹿食害皮剥ぎEd 「修善寺総合会館」に戻った後、伊豆半島GP推進協スタッフの皆さんと合流し、ここの敷地内でディナー・ミーティングに臨みました。
 「昭和の森」会館の展示に見るまでもなく、古代から船材を出荷してその名を知られた狩野川流域でも、戦後、一斉に行われた杉植林とその後の収益減少による手入れの困難さ、シカの新芽・樹皮食害、等が問題になっているそうです。食事に同席された方のお店では、ジビエ(野生肉)料理を提供されているが、今年はハンターの誤射による事故で狩猟が中断していることなど、房総半島の森林とも共通する切実な話題が登場しました。
  <図8.シカ食害で樹皮を剥かれ枯死した       夕食後は、各地のビジターセンターと連携しながらも、伊豆半島GPの中央  樹木:「 伊豆の自然を守る会 」ブログより   拠点施設として機能することになった、修善寺の施設のあり方を検討する会合に、銚子からのスタッフがオブザーバーとして参加しました。地元の代表は、観光協会を始め、レンタサイクルを置いている修善寺駅前の商店主の方など、多彩でした。
 伊豆半島GPでは、今迄、拠点は伊東に集中していたが、東名・沼津~新幹線・三島からのアクセスの良さに注目し、今後は、修善寺の拠点を重点的に拡充していくそうです。
 会合の終わりに、銚子の推進室の専門員が、パワーポイントを使って、銚子GPのプレゼンを行いました。
 質疑では、銚子のGP大使=「ジオっちょ」でラッピングされた自販機と、「ジオっちょ」や銚子GPのロゴを配した方向表示板のデザインに質問があり、市民の会スタッフが回答しました。

 この会合の開始直前に流れていたビデオ画像は、伊豆半島GPの選任研究員の方が、性能向上と低価格化が目覚ましいラジコン・ヘリで撮影されたものだそうで、海から半島先端部を接写するニーズのある銚子でも、参考になります。       

   文責 :  伊豆半島GP視察に参加したHP&ブログの担当スタッフ  in  銚子ジオパーク推進市民の会

                                              ≪ (下)に続く ≫
 

「伊豆半島ジオパーク」訪問記(上)

伊豆半島ジオパーク_訪問記(上)

 9月4日(木)~9月6日(土)に、千葉科学大学 安藤研究室が主催し、「銚子ジオパーク推進室」(以後、「推進室」と略称)と「銚子ジオパーク推進市民の会」(以後、「市民の会」と略称)が参加して、「伊豆半島ジオパーク」への視察が、2泊3日で行われました。
 参加者は、安藤研究室から3名(安藤教授と学生2名)、推進室から専門員1名、市民の会から3名(副会長含む)の、計7名(男性5名・女性2名)となりました。
 うち、6名は千葉科学大学のバンに同乗し、1名は電車で訪問しました。

JakarandaEd 往路の大学構内から大室山のリフト前(伊東市富戸)までは、県道254号⇒(中略)東名高速(中略)国道135号(中略)県道351号の255km強(約5時間)。
 2日目昼の伊東市役所から修善寺総合会館(伊豆市)までは、国道135号⇒県道12号⇒県道59号⇒県道12号⇒国道136号の24.1km(約50分)。
 2日目夕の修善寺総合会館(伊豆市)から伊豆長岡温泉は、県道18号⇒国道136号県道130号の8.5km(約10分)。
 3日目朝の伊豆長岡温泉から「楽寿園」(三島駅前の市立公園)までは、修善寺道路国道136号県道130号の11.9km(約25分)。                <図1.ジャカランダの花>
 復路の楽寿園から大学構内までは、県道21号新東名高速(中略)県道254号の240km強(約4時間)。
 各ジオサイト間の移動を含め、終始、バンを運転された安藤教授に、厚くお礼申し上げます。

 熱海から伊東へと進み、国道135号線が渋滞している時、道路の山側には、ジャカランダ(ノウゼンカズラ科)の並木がありました。特徴ある鳥の羽のような葉の間に、所々花が残っています。花盛りは6月下旬くらいでしょうか?なんと1本だけ、青紫の花を満開に付けている木を発見し、つい嬉しくて騒いでしまいました。

 伊豆半島ジオパーク(以後、すべての「ジオパーク」表現を「GP」と略称)は、銚子GPと同じく2年前にJGN(日本GPネットワーク)によって正会員に認定された同期のGPながら、認定の直後から、「ジオパーク検定」を実施したり、資格を持った専門ガイドによる有料ジオツアーを実施したり、火山岩の諸形態を象った「ジオ菓子」を販売したりして、数あるGPの中でも優等生と見做されています。
 また、伊豆半島GPの説明板・パンフレット・HP(ホームページ)についても、分り易く優れた内容と、統一感のある洗練されたデザインは、銚子GPにとって、学ぶところが大きいと思われます。
 更に、伊豆半島GPは、この夏、世界GPへの日本からの候補として、JGNによって推薦されています。

相模湾遠望_1206Ed 視察1日目は、午前中を移動にあて、午後2時~6時に、「大室山~城ケ崎~一碧湖」ジオツアーに参加し、午後6時半には、溶岩洞窟ジオサイトのある旅館に投宿の予定です。
 1日目のジオツアーでは、伊豆半島GPの優良(有料)ガイドさんによる案内がありました。

 「4000年前に噴火した火山のスコリア丘」と解説された大室山では、バリアフリーに向けて、遊歩道の拡幅工事が進んでいました。               <図2.大室山から相模湾遠望     頂上から南側を見下ろすと、奥の矢筈山との間で、大室山からの溶岩流が作った堰止湖を干拓したという、「池」集落の西側の水田が、色付いた稲穂を見せています。
 「この山には何故、木が生えていないのでしょう?」という問には、「毎冬の山焼き」という回答がありました。
 後から分った話では、大室山=池地区の入会地は、(萱葺き屋根の時代には)萱刈場だったそうで、今では、この地区が立ち上げた会社が大室山リフトを運営しているそうです。
 江戸後期に全国を測量した伊能忠敬測量隊は、第9次測量で2回目の伊豆測量をしています(70歳になった伊能忠敬自身は参加せず)。この時、池集落に立ち寄り、『伊能忠敬測量日記』は、「文化十二(1815)年十二月一日。八幡野村から池村山湖畔」と記述しており、この時代には未だ湖だったことが分ります。
 因みに、第2次測量で訪れた銚子には、昨年、『伊能忠敬銚子測量記念碑』が建立されました。

 次に、「大室山から相模湾に流れ出した溶岩流が作った」という城ケ崎に移動しました。
 ガイドさんは健脚で、アップダウンの多い道が延々と続く、城ケ崎に至る長い遊歩道を、どんどん、先頭に立って歩いて行かれます。
柱状節理_1216Ed 雑木林が途切れる所では、眼下に砕ける白波が岩を洗っており、ここでは複数のスタッフが、夭折した鎌倉三代将軍=源実朝の短歌を思い出しました。
    大海の磯もとどろに寄する波 割れて砕けて避けて散るかも
                       源 実朝 『金槐和歌集』 所蔵

 荒々しい礫浜の手前に、ハマゴウが青い花を付けていました。銚子では砂浜を匍匐する背の低い草ですが、ここでは1m以上の草丈で群落を作っています。
 城ケ崎付近の海側では、見事な柱状節理が見られます。これは、溶岩流    <図3.遊歩道から見る城ケ崎海岸  が海水に触れて冷却された結果、溶岩に多角形の亀裂が入って、六角柱をはじめとする多角柱状になったものだそうです。
 「門脇吊橋」に近い岩場から直ぐの、海食でできた「つばくろ島」には、アマツバメのコロニーがあり、ほんの1週間前まで、営巣していたそうです。
 吊橋近くの岩場に腰を下ろしていると、イソヒヨドリが啼きながら頭上をかすめ、陽の傾いた遠い洋上では、オオミズナギドリが海面すれすれを飛び交っています。
 今回のガイドさんは、本来、鳥を専門にされているということで、特に鳥の解説で精彩を放っておられました。 
 先述の『伊能忠敬測量日記』は、「十二月三日。晴天。富戸村止宿を出立」し、やがて門脇鼻に到達し「右一町余沖燕島周一町計」と記述しており、この時代、既にアマツバメが営巣していたようです。

 
1日目のジオツアー、最後の見学地は、「10万年前の水蒸気マグマ爆発によってできた火口湖という、一碧湖、および、その双子の沼池です。
蝦夷ミソハギEd 調査の結果、この時の噴火によってできた火口は、一碧湖や沼池だけでなく、北西-南東方向に5つの火口列が並んで同時に起きた、割れ目噴火によるものと分っているそうです。
 アシやフトイが繁茂した沼池を遊歩道から見下ろすと、巨大な鯉が沢山泳いでおり、その合間を縫って中型の亀が何匹ものんびりと泳いでいました。
 貴重な湿生植物の宝庫だという沼池の、遊歩道の近くでミソハギに似たピンクの花を付けているのは、ガイドさんが配布されたガイドマップによれば、エゾミソハギだそうです。                                     <図4.エゾミソハギの花        この「一碧湖」ガイドマップは、今回のガイドさんが編集されたものだそうで、素晴らしいガイドさんだと思いました。
 「一碧湖」に限らず、伊豆半島GPのマップやガイドブックは、掌サイズに折り畳めるものが多く、使い勝手を良く考えて作られています。
 
                 
      文責 :  伊豆半島GP視察に参加したHP&ブログの担当スタッフ  in  銚子ジオパーク推進市民の会

                                              ≪ (中)に続く ≫
 

『千葉科学大学が応援する夏休み子どもジオツアー』 第1回 (2)

【 (1) からの続き 】

B_Planetarium17Ed星座早見盤の完成後、文化会館屋上のプラネタリウムへ行き、加藤先生から、夏の星座の解説を聞いて、プラネタリウムの外で現実の夜空を見るための目を養いました(写真右)。
東の空では、夏の大三角形(琴座のベガ、鷲座のアルタイル、天の川の上に羽を広げる白鳥座のデネブ、の3つの星が作り出す)を、先ずは頭に入れましょう。
南の空では、射手座の矢の先が、天の川の向う岸にいる蠍の赤い心臓
(アンタレス)を狙っている構図も、ポイントです。

雨もよいのハッキリしない空を前に、今日最後のカリキュラムを、子供と保護者の方々に、2択で選んでもらいました。小雨覚悟で「犬吠埼ジオ・ウォーク」と、室内で「貝殻と小石のフォト・フレーム作り」です。結果は、丁度半々に分かれました。

15:15に出発した犬吠埼へ行くバスは、到着するまでワイパーが回っていました。しかし、バスを降りたら、雨が止んでいました。そして、ジオ・ウォーク終了後に、バスに乗るために信号待ちをしていたら、本格的に降り出しました。私たちは、恵まれていたのかも知れません。

「犬吠埼ジオ・ウォーク」は、酉明浦~湧水~犬吠埼崖下~犬吠埼波打ち際~台地上、と回るコースです。
ここでは、大人の参加者のために白亜紀の銚子層群を解説し、その後、子供も一緒に、浅海堆積物や岩の風化を確認しました。
崖には、スカシユリのオレンジ、ノアザミの濃いピンクの花が咲いて、「夏休み子どもジオツアー」を歓迎しているかのようです。

B_PhotoFrame犬吠埼灯台Ed一方、「貝殻と小石のフォト・フレーム作り」は、そのまま、文化会館に残って行われました。
銚子の風景や花の写真、アート風のデザインなどを印刷した、分厚い型紙を立体的に組み立てて(写真左)、好きな部分に、長崎海岸で拾った貝殻や小石を貼り付けます。
今回は、小学3年の女子生徒たちに、この工作が人気でした。

16:30、初日の全カリキュラムを終えて、ツアー参加者は、宿泊先や自宅へ戻りました。
B_愛宕山看板_伊藤22Ed2
2日目は、9:30に愛宕山ジオ・ツアーをスタートしました。
先ず、地球展望館の3階屋上に登って、地球が丸く見える眺望とともに、「太平洋に突き出た大地の右腕」と呼ばれる地形を確認しました。
展望館の2階踊り場では、市内の方が出品された琥珀展が開催されていました。銚子半島の東海岸では、「日本一古い銚子の琥珀」の中に、「世界で2番目に古い虫入り琥珀」が見つかることがあり、子供たちは、備え付けのルーペで虫を確認していました。

B_展望館屋上_三年生20Ed一旦、展望館を出て、愛宕山の頂上に登りました。ここでは、3年生と大人の参加者のために、銚子半島の地形とその基盤を構成するジュラ紀の地層、および愛宕神社や炎のモニュメントを解説しました(写真右上)。
子供たちはよくメモを取って、ガイドの話をしっかりと聞いていました(写真左)。

10:30、渡海神社に向けて、歩いて出発です。行きは下り坂なので、10分ほどで到着しました。帰りの上り坂では、15分かかりました。

糟谷先生は、鳥居脇の巨大なタブノキの根元で、寄生性のキノコである、サルノコシカケの解説をされました(写真右下)。
B_渡海神社_糟谷24Ed2
参道を進むと、本殿横に、コンクリート製のカエルとキノコが飾られています。
その脇で、子供たちは本物のキノコを発見。糟谷先生から直ちに種を同定して貰い、嬉しそうです。

渡海神社の常緑広葉樹は、他の常緑広葉樹や下草とも共生し、林内の、どの木や草にも適度な光が差し込むような形で成長しており、これが完成形なので「極相林」と呼ぶそうです。

11:40、展望館2階に到着し、今回のジオ・ツアーのまとめに入ります。
糟谷先生は、銚子の生き物の復習の中で、生物多様性への理解が深まるような、まとめをされました。

B_まとめ_糟谷27Ed市民の会からは、「生き物」「ジオパーク」「星と月」の3種の観察ノートを配布し、スライドで使い方を説明しました。帰宅したら、記憶が鮮明な裡に、図や言葉で、印象に残ったことを記録するように、子供たちに促しました。
今回は曇り時々雨の夜だったので、星座早見盤と「星と月のかんさつノート」は、帰宅後の晴れた夜に使うよう、配布しました。
糟谷先生も、記憶が鮮明な裡に記録することの大切さを強調されました(写真左)。
ジオツアーに参加した小学生のみなさん、自分のメモ帳から書き写したり、さまざまな場面を思い出して、観察ノートを完成させ、2013夏の思い出にしましょう。

B_展望館集合_全体30Ed212:10、推進室が配布したアンケートに、ツアー参加者全員が回答します。4歳児も、自力で感想を書きました。
今回は、銚子ジオパーク推進協議会の会長でもある銚子市長が多忙のため、同副会長でもある市民の会の工藤会長から、子供たち全員に終了証書の授与がありました。皆、良く頑張りました。

最後に、皆で、集合写真を撮って(写真右)、12:30、親子ともに、楽しかったイベントを終えました。
糟谷先生、学生さん、推進協議会加盟のスタッフの皆さん、どうも、有難うございました。 
                                       【撮影:佐野明子_銚子市観光プロデューサー】
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