ハンモック状斜交層理

2012基礎講座 第4回 島原&幕張報告/堆積構造

5月24日(木)午後7時~8時半に、 基礎講座の第4回が開催され、70名近い参加者があり ました。 今回も、教室前に幟旗を立て、テーブルを出して、「市民の会」のスタッフが、千葉科学大の学生さん達と共に、受付や地学テキストの販売などの事務処理を、講座開始まで行いました。講座開始後は、学生さんにバトンタッチしました。

 今回は、以下の内容で、安藤先生の講義が進みました。
(1) 最近の活動報告と今後の予定 (10分)
(2) 島原ユネスコ会議報告 (10分)  
(3) 地球惑星連合大会 公開プレゼン報告 (10分) 
(4) 堆積構造 その1 (20分) 
---<休憩>--- (10分)   
(5) 堆積構造 その2 (30分) 

  銚子市民にとっては珍しいもの尽しの九州の活火山地帯で、世界ジオパークにも登録されている、島原半島訪問記に、大変興味深く、耳を傾けました。

島原パンフと溶岩DSC01477
 「島原の乱」では、 島原半島対岸の天草には地元民が1人しか生き残らず、その後は奈良県からの移住者が多いとか、銘産の「島原素麺」は、雲仙岳山麓の肥沃な土が小麦に適し、山麓の豊富な湧き水が素麺作りに適しているなど。

 火砕流で43人の死者・行方不明者を出した平成新山のある雲仙普賢岳(左上写真左側)の溶岩は、昭和新山のある有珠山と同様、デイサイトから成るそうです。

 今回は、休憩時間に、 安藤先生が「普賢岳巡検」の折に採取されたデイサイトに、実際に触れる機会がありました。受講生たちは、その軽さに驚いていました。白っぽい石の中で、黒雲母が光っていました。有珠山と同様、デイサイトから成るそうです。 右上写真は、島原会議のパンフや熔岩を見学する、年齢幅の広い受講生達。 

 デイサイトは、二酸化珪素を多く含むため、酸性で、パン皮状の軽い岩石です。 デイサイトから成るマグマは粘性が高いため、火山ガスの圧力が高まり、大爆発して火砕流や火山灰を周囲に撒き散らすことになり、火山災害を大規模にすることがあります。

Hugendake&Mayuyama
 島原半島には南北を分断する大きな断層があり、この 断層に沿ってマグマが噴出しやすいそうです。江戸期半ばに起きた雲仙岳の火山性地震や眉山(左上写真右側)の山体崩壊【島原大変】と、それが原因で対岸の熊本を襲った津波【熊本迷惑】とを併せて、「島原大変・熊本迷惑 」と呼ぶ災害のことも紹介されました(この時は、島原で約5千人、熊本で約1万人が犠牲になったそうです)。右下写真は、眉山の山体崩壊のスライド、クリックすると拡大し、様子がよく分かります。
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島原大変肥後迷惑DSC01464 眉山が崩落し、有明海に流れ込んだ岩塊は、島原市街を前にした浅海の岩礁群として残っています。これらの島の成り立ちは興味深いものです。

 島原ユネスコ会議の合間に行われた「雲仙巡検」では、山腹に咲くミヤマキリシマ(雲仙ツツジ)の赤紫の花が、 ちょうど見頃で、とても綺麗だったそうです(雲仙岳のミヤマキリシマは、15万本あると言われます)。
 ツツジは、酸性土壌を好む植物ですから、 雲仙のような二酸化珪素の多い土地が合っているのでしょう。
 
 講義の後2/3は、 堆積構造の解説です。
 今回は、堆積イベントを契機に作られる単層と、単層が積層して成される層理としての地層が解説されました。
 堆積イベントは、 流れの緩い河口部や湾内などに堆積していた土砂が、ストームなどで急激に沖合に運ばれて堆積した場合に、それまでの単層との間に境界としての層理面が認められるそうです。
 堆積イベント相互の間には、時間的・環境的変化があり、結果として、2つの単層の間にも肉眼で分かる差異ができることになるそうです。
 個別の堆積イベントの記録としての堆積構造を、更に詳細に見てゆくのが今回のテーマで、題材は銚子層群・
犬吠埼層です。 左下写真、色分けの下から3番目の緑色部分、クリックすると拡大し、よく見えます。 
銚子層群堆積場DSC01483 (1) 並行層理と斜交層理
 
(2) ハンモック状斜交層理
 (3) 漣痕(リップル・マーク)
  (3-1) ウェーブ(波成)・リップル
  (3-2) カレント(流成)・リップル
 (4) 生痕化石・ 生物擾乱
 (5) 蜂の巣状風化
 (6) 皿状構造

 上記の中で、特に詳しく解説されたのは漣痕で、スライドを使ったアニメーションにより、砂粒の動きが分かりやすく、受講生の注目を集めました。大学から聴講に来ていた学生さん達も、ここがシッカリと印象に残ったようです。
 重要なのは
皿状構造で、浅海の柔らかい砂の層の上に一気に大量の土砂が流入するという特殊なイベントの記録が、犬吠埼の灯台下に典型的な形で残され、他では滅多に見られない珍しい地層です。  

ホワイトデー現地見学会

 3月14日(水)11:00~14:00 に、「銚子ジオパーク推進市民の会+千葉科学大学」の主催で、『ホワイトデー現地見学会』が、犬吠埼で開催されました。
 今回も、灯台前の観光センターの脇に、マスコット・キャラの「超Cちゃん」をあしらったノボリを立て、受付テーブルを出して、お客様を迎えました。また、テーブルの1台に、スタッフの1人が集中的に集めた「犬吠埼の岩石+化石標本」を陳列した点も、前回同様です。
 
 「市民の会」スタッフは、今回も、灯台下の岩場での今日のガイドに備え、銚子層群の特徴を備えた以下の9ヶ所のジオスポットに、「案内標識」を設置しました。WhitePostCeremony

 (1) 砂岩泥岩互層
 (2) カレント・リップル
 (3) ハンモック状斜交層理
 (4) 生物擾乱
 (5) 生痕化石
 (6) 蜂の巣状風化
 (7) 漣痕
 (8) 汀のノジュール
 (9) 琥珀・トリゴニア・シジミ

 11:00~12:00にはホワイトデーを記念し、犬吠埼灯台を管理する銚子海上保安部の協力を得て、白亜の灯台前に、国内初の『白い丸型ポスト』がお目見えしました。白亜紀の地層と合わせ、「3つ目の白亜」の誕生ですね。
 日本郵便銚子支店主催のイベントには、お洒落な制服の海上保安庁の方々も参加され、序幕後は、飯沼幼稚園の園児たちによる記念投函、お楽しみ抽選会と続き、「市民の会」スタッフも抽選会に参加しました。右上写真は、灯台を背景に『白い丸型ポスト』の序幕を待つ着ぐるみたち。

InuboGakechiPlants120218
 朝9:30には1mあった潮位も、12:00には60cmに下がり、お客様をガイドしやすい環境が整いました。

 お客様とご一緒して岩場への階段を下りて行くと、鹿島灘からの北風が吹きすさぶ丘の上の灯台前とは別世界のように、暖かな日差しが崖地を温め、ここを北限とする黒潮系植物群(左写真)の生育理由が分かる気がします。

 小高い所に立って、砂岩泥岩互層の岩礁を見下ろすと、ハンモック状斜交層理が随所に見られ、ストームの多かった中生代・白亜紀の気候との関連を、よく保存しています。

 岩場に残された動物(恐竜?それ以外?)の足跡化石が点々と続く傍らに、形の良いポットホールが2つほどあり、後世に、熔岩のカケラが回転しながら白亜紀の砂岩を削った様子も、偲ばれました。

 この熔岩のカケラは、犬吠埼の南方にある長崎鼻の沖合の、熔岩でできた島「宝満」辺りからもたらされたと推察します。因みに、「宝満」は、時代を下った新生代・新第三紀・中新世の地層です。

RedLastPost_0314 今回は、干潮時刻に近く、天候にも恵まれたので、汀のノジュールを見た後、一列に並んだノジュールにもご案内ができました。ヤドカリの殻の替わりに、回転して移動するのに都合がよかったのか、球状のノジュールの中に棲んでいた動物たち(アンモナイト?エビ?)の生態にも、思いを馳せました。 

 前回の見学会に続き今回も、銚子市の外側からのお客様をご案内しました。市外のお客様は、「市民の会」HPのブログをご覧の上でご来場されるので、今後ともHPのブログには、タイムリーな情報のアップが要請されることも分かりました

 灯台前の観光センターの脇には、今日まで、本州最東端の赤いポスト(右写真)が立っていました。ところが、午後3:30を過ぎると、これが青いシートとロープで包まれ、使用不可になりました。『白い丸型ポスト』にバトンタッチした赤いポストさん、お役目、ご苦労様でした。

月例見学会第2回 ・ 犬吠埼(その2)

Guide2_DSCF3364_Resize 初め2回のガイドは、10名以上のお客様をご案内しました。その後は、三々五々お見えになるお客様の小グループに対応して、随時、1~3名のスタッフがガイドしました。今回は、お客様のご要望に応じて、20分~1時間30分の範囲内で、内容をアレンジしました。左写真は、ベテランガイドによる解説。
 内容は、前述の「簡易標識」の場所で、(1)~(8)の地質の成立状況を説明するほか、随時、犬吠埼の崖地に見られる植物群や、灯台+波高計+電波塔の説明などを付加しました。

 犬吠埼の地質は「犬吠埼層」と呼ばれ、主として、ストーム(嵐)で形成された「ハンモック状斜交層理」を形成する細粒の砂岩から成り、石英とカリ長石に富みます。堆積したのは、当時の「南中国地隗」に近い、東西方向に海岸線を持つ「亜熱帯の比較的浅い海」だとされています。因みに「亜熱帯」は、現代の気候に対応する地図でいえば「海南島」中部以北に相当します。

 犬吠埼層を含む「銚子層群」は、中生代の白亜紀前期のうち、前期バレミアン~後期アプチアンに属します。このうち、犬吠埼層は前期アプチアンに属します。銚子層群は、西南日本外帯の「秩父帯中帯」に属する関東山地で、ジュラ紀の岩を不整合に覆っている 山中(サンチュウ)地溝帯」の、白亜系の「石堂層(バレミアン)」・「瀬林(セバヤシ)(後期バレミアン~アプチアン)」の東方への延長とする説があります。銚子も関東山地も、テチス海由来の動物化石(アンモナイトなど)を多く産出します。「山中地溝帯」では恐竜の足跡も確認されています。
 銚子層群は、ジュラ紀の「愛宕山層群」の上に不整合で堆積しています。犬吠埼で地面を深く掘る工事をすると、「高神礫岩」と同様の化石を含むジュラ紀の石が出るのは、このためではないかと言われています。

 銚子半島を含む、やがて本州の部品になる地隗は、白亜紀前期(約1億3,000万年前)に、イザナギ・プレートの北上に伴う「横ずれ運動」により、南シナ海付近からほぼ現在の位置まで、約2,000km移動したと考えられています。銚子半島にとって、パンサラサ海(古太平洋)の海底を産みの母、超大陸ロディニアを実の父とすれば、南中国地隗やテチス海は育ての母、イザナギ・プレートは育ての父といったところでしょうか?
 また、銚子層群の地層は、白亜紀後期から、新生代・中新世の日本海が開く前後までに、水平圧縮された結果、背斜を成す多くの褶曲とそれらを切る断層によって変形を受けており、随所に、30°もの傾斜が見られます。 

 毎週土曜日の『大衆日報』に、安藤先生の連載記事が載るようになり、昨2月25日で第6回を迎えました。この記事をご覧になっての訪問者も増えました。特に最新回は、『堆積学の教科書・犬吠埼の堆積構造』という表題で、犬吠埼がタイムリーに特集されています。
 また今回の見学会では、関東の少し遠いエリアからの新しいお客様も増えました。特に、内陸県のお子様たちは、説明付きの磯遊びを楽しんでいる様子でした。
 昨日の大雨が過ぎ去って寒さがぶり返し、波浪注意報が出ていた犬吠埼の岩礁は、午後にはうねりを伴う3mの波に洗われ、午後2:30を回ると急速に潮が上げてきました。薄曇りの一日、鹿島灘からの6m/秒の北風にも負けず、100名の見学客が、銚子市内および首都圏から訪問されました。

 次回は春たけなわ、3/24(土)の『犬岩・月例見学会』への、皆様の一層の参加をお待ちしています。
 集合場所は、「犬岩前(犬若青年館わきを入り奥の広場)」です。

月例見学会第2回 ・ 犬吠埼(その1)

Guide1_DSCF3374_Resize 2月26日(日)10:00~14:00に、「銚子ジオパーク推進市民の会+千葉科学大学」の主催で、『月例見学会第2回』が、犬吠埼で開催されました。右写真は、ガイドの「漣痕」解説に身を乗り出すお客様。

 日曜日の犬吠埼では、朝8:30には、灯台の展望台にお客様の姿が見えます。『~市民の会』スタッフは、灯台下の岩場での今日のガイドに備え、銚子層群の特徴を備えた以下の8ヶ所のジオスポットに、「簡易標識 」を設置しました。
 
朝8:30には潮位が高く、ジオスポットからやや離れた位置に標識を設置することになった箇所も幾つかありました。

Hunmock_Inubo_Resize

 灯台脇の観光センターの隣に、マスコット・キャラの「超Cちゃん」をあしらったノボリを立て、受付テーブルを出して、お客様を迎えました。 今回は、そのテーブルの1台に、スタッフの1人が集中的に集めた「犬吠埼の岩石+化石標本」として、以下を陳列しました。

 a. フズリナを含む砂岩(愛宕山層群、フズリナは3億年前)
 b. チャート(愛宕山層群、緑色部分は2億5千万年前の酸欠時代)
 c. チャート(愛宕山層群、赤褐色部分は②より後の有酸素時代)
 d. トリゴニアを含む砂岩(銚子層群)
 e. シダ類を含む砂岩(銚子層群)
 f. その他の植物を含む砂岩(銚子層群) 

 受付に見えたお客様は、この標本に大変、興味を示されました。
  (1) 砂岩・泥岩互層
 (2) ウェーブ(波成)リップル(砂漣)
 (3) カレント(流成)リップル(砂漣)
 (4)  ハンモック状斜交層理 (左写真)
 (5) 生痕化石・生物擾乱
 (6) ノジュール
 (7) 皿状構造
 (8) 動植物化石
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