日本海溝

2012基礎講座 第7回 マグマの発生と火成岩の分類 

6月14日(木)午後7時~8時半に、 基礎講座の第7回が開催され、50名近い参加者があり ました。 今回も、教室前に幟旗を立て、テーブルを出して、「市民の会」のスタッフが、千葉科学大の学生さん達と共に、受付などの事務処理を行いました。

DSC01568 今回のテーマは『マグマの発生と火成岩の分類』で、坂本先生の講義です。最後10分間、安藤先生の『古銅輝石安山岩』の補講がありました。
 
 坂本先生の講義は、地球内部のどこにマグマがあるか、という話から始まりました。

 地震発生時に、ドスンと揺れるP波より遅れて来るユラユラ揺れるS波は、液体内を 伝播しないことが分かっているため、プレートの下限より少し下(地殻下部からマントル上部、地下50km~100km)のどこにでもマグマがあるのではないことが証明されるそうです。
 地震波トモグラフィーを見ると、日本海溝や中央海嶺の付近は、地震波の伝播速度が遅く、マグマの上昇と関連しています。
 マグマが上昇してくると長周期の揺れが発生し、これは地震より予知が容易いそうです。

 マグマの温度=500℃~1200℃は、案外低いので、これでは溶けない金属がかなり有りそうです。
 岩石の生成過程を見ると、火成岩だけでなく、変成岩も堆積岩ですら、結局、地表の岩石は、マグマに起因して生成されるように思われます。

DSC01572  スライド(左写真上)や地学図表(p.17)で示される「火成岩の分類」 表は、何回見ても大変役に立ちます。 

 中央海嶺を初め、海洋性のマグマは、圧倒的に玄武岩質なので、 玄武岩質マグマからの、冷却に伴う鉱物の晶出過程に関する、「ボーエンの晶出順序」表は、多くの溶岩地帯でフィールドワークに使えそうです。

 坂本先生が持参された岩石を、講義終了後に、多くの受講生が見物しました。ずっしりと重いかんらん岩は、これがマントルを構成するのかと思うと、感無量でした。小諸産の輝石安山岩は、銚子の古銅輝石安山岩と違い、かなり白っぽく見えます。 受講生に人気があったのは黒曜石で、古代から物を切る道具に使われてきただけあって、非常に鋭い断面をしていました。

DSC01580  講義の最後10分間に、安藤先生が登場、『古銅輝石安山岩』の補講がありました。地下のマントルの動き、マグマの発生と分化のプロセスが、 板書を駆使して、丁寧に解説されました(写真左下)。

  日本の火山では、沈み込む海洋プレートから、1400℃のマントル・ウェッジに、大量の水が供給されることによって、マントルを構成するかんらん岩の融点が下がり、マグマが生成される 、という前回のおさらいも、『マグマの発生と火成岩の分類』の講義の後に解説されると、より良く分かりました。

 「安山岩質マグマの発生」では、 2種のパターンが順を追って解説されました。 
 (1) 海洋地殻からの水の供給により、マントル・ウェッジ自体から、①Mgに富む玄武岩質マグマが、次いで、②安山岩質マグマが、結晶分化する。結果、玄武岩質と 安山岩質が共生する。 
 (2) 高温のマントル・ウェッジに触れて、 海洋地殻自体が溶けて発生する流紋岩質マグマ(酸性)と、上部マントルのかんらん岩を溶かし込んだ玄武岩質マグマ(塩基性)が、マグマ・ミキシングを起こし、中性の安山岩質マグマが発生する。

 黒生は、(1) のパターンで説明がつくそうです。(1) の説明は、先週よりも格段に分かり易いものでした。

 今回も、休憩時間に、 熱心な受講生達が先生の回りに集まって、質問をしていました(左上/右上の写真)。

2012基礎講座 第6回 古銅輝石安山岩 

6月7日(木)午後7時~8時半に、 基礎講座の第6回が開催され、60名近い参加者があり ました。 今回も、教室前に幟旗を立て、テーブルを出して、「市民の会」のスタッフが、千葉科学大の学生さん達と共に、受付などの事務処理を行いました。

DSC01537  今回のテーマは『古銅輝石安山岩』で、安藤先生の講義です。
 
 先ず、環太平洋の火山帯に多い安山岩と、一般的な結晶から輝石までの解説がありました。

 板状節理をなすことから鉄平石と呼ばれる安山岩ですが、これにも幾つかの種類が知られています。
 平塚市博物館の解説によると、「諏訪鉄平石は更新世の複輝石安山岩、佐久鉄平石は中新世の輝石安山岩で、佐久石は中新世後期の複輝石安山岩質溶結凝灰岩で、これらは八ヶ岳の噴火に由来」、また、「 丹沢の噴火に由来の輝石安山岩は、白い斜長石の斑晶が目立ち、平塚や相模原に見られる」そうです。つまり、火山噴火のあったところでは、輝石安山岩は一般的なものともいえます。
 
 一方、黒生漁港の突堤脇に見られる 古銅輝石安山岩は、まるで無数の星の粉を振り撒いたように、太陽光を浴びると、緑色にキラキラと輝きます。ここの安山岩に含まれる、赤鉄鉱などの薄片を含んでブロンズ色に輝く古銅輝石は、頑火輝石(Mg2Si2O6)の一種です。
 一定の高温を条件として結晶する頑火輝石 (Mg2Si2O6) は、斜方輝石の一種で、マグネシウム(Mg)の含有量が多いことを特徴としており、太陽系ができた頃の古い隕石にも含まれる鉱物 だそうです。

DSC01541  黒生では、安山岩が貫入した夫婦ヶ鼻層は、深い海で堆積した海成のシルト層で、そこに含まれる珪藻化石の年代測定から、1,650万年前の地層と分かるそうです。
 銚子半島のもう一つの溶岩地帯=宝満の夫婦ヶ鼻層は、浅い海で堆積した陸源性の凝灰質砂岩で、貫入した安山岩 のK-Ar法による年代測定から、2,100万年前の地層と分かるそうです。

  また、黒生では、安山岩とともに玄武岩を産出し、これにはMgに富むかんらん石( (Mg, Fe)2SiO4 )の結晶が含まれています。
 玄武岩質マグマの温度が下がると、 融点が高いために高温では結晶していた、Mgに富むかんらん石の結晶が溶け始め、 Mgに富む斜方輝石の結晶ができることが知られています。これを斜方輝石玄武岩と呼びます。

 安山岩と玄武岩では成因が異なることから、両者は別の時期に、黒生に噴出したのではないかと考えられているそうです。伊豆大島・三原山や富士山に代表される、玄武岩を噴出する火山群は、 黒生においても、安山岩を噴出する火山群よりも後の時代に活動したのでしょうか?それは、どの時代なのでしょう?  

DSC01545  次に、地下のマントルの動き、マグマの発生と分化のプロセスが、 地学図表・ハンドアウト資料・スライドの他に板書も駆使して、丁寧に解説されました(写真右上)。特に、マントルを構成するかんらん岩の溶融条件の図は、興味深いものです。 

 マグマが噴出する場所には、海嶺・ホットスポット・島弧海溝系の3種があり、それぞれ、低圧・高温・水の供給を契機としてマグマが生成されるそうです。

 日本の火山は 島弧海溝系の沈み込み帯(日本海溝)に起因します。沈み込む海洋プレートからマントルに、大量の水が供給されることによって、マントルを構成するかんらん岩の融点が下がり、マグマが生成されることは、実験的に分かっているそうです。

 銚子に火山フロントがあったのは、背弧海盆としての日本海が開き始める直前の時代、即ち、日本列島とユーラシア大陸との繋がりがマントルの湧き出しによって切れ始めた時代であると仮定すれば、日本海溝との位置関係で辻褄が合うのでしょう。
 その場合、1,500万年前に日本海が開き終わったとすれば、銚子の火山岩はすべて、これ以前に生成されたことになります。

  ホットスポット であるハワイが、海中に火山の軌跡としての天皇海山列(7,000万年前~4,000万年前)を残しつつ、8㎝/年で、2億年かけて、徐々に日本列島に近づいていることや、マントル対流の結果として大陸は5億年に1度は1つになること、などのスケールの大きな安藤先生のお話には、受講生の多くが関心を持ったようです。

 今回も、休憩時間に、 熱心な受講生達が先生の回りに集まって、質問をしていました(左の上/下の写真)。
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