正断層

2012基礎講座 第5回 地層の重なりと地殻変動 

5月31日(木)午後7時~8時半に、 基礎講座の第5回が開催され、80名近い参加者があり ました。 今回も、教室前に幟旗を立て、テーブルを出して、「市民の会」のスタッフが、千葉科学大の学生さん達と共に、受付などの事務処理を行いました。

DSC01511  今回は、「地層の重なりと地殻変動」で、坂本先生の講義です。
 スライドの他に板書も駆使されて、丁寧に地層のでき方と重なり方を解説されました(写真右上)。

 雨や風化による地表の浸食、河川・海への流入と堆積、嵐のうねりによる堆積物の移動、海進・海退による海面の変動が、周期的に繰り返された結果を、後世の人々は 観察しています (写真左上) 。
  前の周期と次の周期では、環境条件も、流入する土・砂・礫の種類も、異なるために、 層と層の間に目視できるような層理面が形成され、地層として認識できるようになります。 
DSC01505 浅海では、地層の堆積する様子が如実に分かり、白亜紀の浅海が地表に現れている犬吠埼では、これが良く保存されているため、いつでも身近に観察できる優れたジオポイントとなっています。

 これが北海道の白亜紀の地層を観察するのであれば、「原始の森に分け入り、ヒグマ用の鈴を鳴らしながら、目的地を目指すことになる」とは、先日の犬吠埼の見学会で、訪問者の方から伺いました。

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 今回も、休憩時間に、 熱心な受講生達が先生の回りに集まって、質問をしていました(写真右下)。 

 後半の講義の冒頭で、坂本先生は、主要な質問への回答として、活断層とそれ以外の断層の違いを解説されました。
 活断層は、過去にその場所で複数回の地震が発生している場合に命名されるそうです。

 「3.11」以後も「千葉東方沖地震」が頻発していることや、つい最近発表された房総半島におけるM8以上の地震発生確度の高さから、活断層への関心は、受講生の間にも高まっていることが分かります。

  後半のテーマは、 地殻変動です。正断層・逆断層・横ずれ断層の違い、背斜・向斜などの用語の定義を学ぶとともに、断層と褶曲ができる条件の違いを学びました。より軟質・ より高温の地層は、水平圧縮力により、褶曲しやすいと。

DSC01504 犬吠埼の浅海堆積物が形成された中生代・前期白亜紀よりも後の時代、中生代・後期白亜紀~新生代・中新世に犬吠埼で起きた多くの褶曲は、日本海が開こうとする圧力と、太平洋プレートが当時の陸側プレートの下に沈み込む際の圧力により、東西方向の強い圧縮力を受けた結果とされており、この時代、マグマが地下の浅い位置まで上昇していたことを伺わせます。

 興味深かったのは、正断層に見えても実は逆断層の場合があること、日本列島のように、海側のプレートに押されている場合は、引張力は余り働かず 、逆断層のケースが圧倒的に多い、という解説でした。

 多くの褶曲が起きたよりも後の時代に、犬吠埼を中心とする東海岸で、褶曲を切る、南北方向に発生した多くの断層も、逆断層と考えるのが自然なのでしょう。

4月28日(土)基礎講座・野外見学会_屏風ヶ浦

 4月28日(土)10:00~14:00に、『銚子ジオパーク推進市民の会』の主催・千葉科学大の共催で、2012基礎講座・見学会第1回が、屏風ヶ浦で開催されました。
 銚子マリーナ前の千葉科学大の駐車場に、マスコット・キャラの「超Cちゃん」をあしらった千葉科学大の幟旗と、新しく登場した銚子ジオパーク推進協の「めざせ!銚子ジオパーク」の幟旗を立て、受付テーブルを出して、お客様を迎えました。
 今回は、GW初日にも拘らず、千葉科学大の1年生70名を含む、150名以上の方がお見えになりました、
 午前中は、毎回10数名の1グループに1人ずつ、「市民の会」ガイドが付きました。人数に余裕のあった午後は、6~7人の1グループに1人ずつ、「市民の会」ガイドが付きました。
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 ガイド内容の概略は以下の通りです。 
 (1) 屏風ケ浦の成り立ちと関東平野の地下構造
 (2) 犬吠層群の各地層の特徴
 (3) 名洗層内の火山灰層を鍵層とする地質時代の解析
 (4) 前浜・外浜と新しい漣痕の形成
 (5) 波浪による浸食、および地層保全vs国土保全
 (6) 断層の特徴と、3.11とその後の地震の影響
 (7) 夫婦ケ鼻―萱刈島断層と屏風ケ浦の不連続性
 (8) 未処理排水の流入度、および海水・生物への影響度 
 右上写真は、名洗遊歩道で屏風ヶ浦の解説をするガイドと、見学の大学1年生と市民。
 
 名洗層は、新生代のうち、新第三紀・鮮新世(約500万年前~)から第四紀・更新世(~220万年前)迄の長期に亘って海中に堆積した地層で、その内部に、筋状の火山灰層を幾重にも挟んでいます。
 上記(3)では、第三紀/第四紀境界(約258万年前)に近い約250万年前の火山灰層に含まれるザクロ石の化学組成と粒径の傾向を、 南関東の愛川町~鎌倉市~江東区~銚子市にかけての上総層群相当地域で調査し、丹沢山系の火山爆発の影響を立証した、2010年の田村氏らの研究成果が、その2cmほどの厚さの地層を目の前にして、紹介されました。
DSCN1310 今回は特に、大学1年生のグループに課題を出して、Na-G(ガーネット層)の連続する範囲を特定する作業を行って頂きました。名洗漁港手前から名洗遊歩道入口まで確認できました。
 上記(6)では、Y字の正断層を前に、「どちらの断層が先に発生したか?」大学1年生のグループにディスカッションをして頂きました。結論を市民ガイドが解説し、先に発生した断層の痕跡を確認して頂きました。
 また、3,11とその後の地震で崩落した名洗層の土砂の残骸を、それぞれの場所にご案内して解説し、地震への危機意識を高める模式地としての意義も確認しました。
 左上写真は、マリーナ駐車場前で見学のまとめをするガイドと、大学1年生。
 
 名洗層は、犬若海岸を目前にした犬若岬の西部から始まり、潮見町の銚子マリーナのある湾でカーブし乍ら、刑部岬手前の大谷津近辺まで露頭が見られますが、半島東北部の夫婦ケ鼻とマリーナ港内の萱刈島とを結ぶ断層で、一旦、区切られています。
 この断層の西側では、より古い第三紀・鮮新世の名洗層の大半は地下に潜り、より新しい第四紀・更新世の名洗層が主に露頭しています。
 この断層の東側では、より新しい更新世の名洗層は外川から続く台地の周縁部に見られます。より古い鮮新世の名洗層も、所々で関東ローム層の間から顔を覗かせています。
 上記(7)の萱刈島は黒生チャート・愛宕山・犬岩・千騎ケ岩と同様、ジュラ紀の地層からなります。
 今回は、時間と人数の都合で、マリーナ港内の萱刈島はご案内できませんでした。

月例見学会第3回_犬岩・千騎ケ岩・愛宕山(その2)

 前項(2)と(6)では、付加体成立よりもはるか後世における正断層発生後の、波浪浸蝕や風化に弱い泥岩部分の欠落による、海食洞千騎ケ岩空洞の成立をご説明。今日は波が荒く、海食洞を覗き込むと、打ち寄せる波に足元を掬われそうでした。海食洞には、陸側から投棄されたゴミが溜まっており、清掃が課題となりました。

  千騎ケ岩を特徴づけて いた留鳥としてのウミウは、 道路工事で立ち去った模様で、今は渡り鳥しか確認できません。ウミウに限らず、今年は、全国的に留鳥が激減しているというメジャーな情報があり、「放射能のせいでは?」とも囁かれています。

 
  前項(4)と(5)では、ここからスタートし屏風ヶ浦の名洗漁港を越えて大谷津辺りまで続く、火砕流火山灰に由来する名洗層をご説明。北風を遮る崖下には、ヒゲスゲ(左下写真)が開花中、イソギクも新葉を展開しています。この何れも、黒潮で運ばれた暖流性植物で、銚子が北限です。

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 前項(9)では、海洋底の移動により、ジュラ紀(1.5億年前)に付加体が形成された際に、メランジュ状に破砕された海洋底由来の高神礫岩が、陸源性の硬砂岩泥岩内の随所に認められます。しかも、多くの高神礫岩中に、様々な形状のフズリナ(紡錘虫:ペルム期(古生代)の示準化石で約2.5億年前に絶滅)が認められます。
 また、高神礫岩中に含まれる花崗岩礫は、暗灰色の「角閃石黒雲母花崗閃緑岩」や白っぽいトーナル岩などから成り、磁鉄鉱を含み、K-Ar法で分析した結果、角閃石で2.7億年前、黒雲母で2.55億年前と判明しています。
 古生代の南半球に誕生した、日本列島を構成する部品としての地塊が、北半球の現在に近い位置まで、中生代に移動した様子に思いを馳せました。

 高神愛宕山の「地球が丸く見える展望館」の入り口左右には丈の高い「石灯籠」があり、建物左手には、「一等三角点」と、その奥に、石造の「愛宕神社」があります。明治25(1892)年設立の一等三角点「高神村」には 北緯 35°42’11”0300、東経140°51′24″4078、標高73.62mと表示されており、ここが銚子の中心。江戸期までは標高が80m以上あったという説があり、お客様と話に花が咲きました。

 今日は、雨雲が低く垂れ込め、展望館の屋上もお勧めではありませんでしたが、「日比友愛の碑」から見える水平線の向こう側には、フィリピンのマヨン火山(通称:ルソン富士)が、銚子との間に障害物もなく聳えているとのことです。今も噴煙を上げる活火山で、火砕流と溶岩流の繰り返しによって形成され、ほぼ完璧な円錐形をしていることから、“美しい”を意味する“マヨン”の名前が付けられ、かつて、日系人移民の間では、「富士山よりも美しい」と称えられた山容を持つそうです。
 戦火に散った日比両国の兵士や市民のことを、何時までも忘れないために、高神愛宕山の地が選ばれたのだそうです。

 お客様とガイドは、この碑の手前にあるアーチが、「3.11」や最近の震度5強の地震にもヒビ割れ一つないことに感心し、ジュラ紀の岩盤の硬さを称賛して、雨脚も強まる中、今日の観察会を終えました。

月例見学会第3回_犬岩・千騎ケ岩・愛宕山(その1)

InuwakaGuide0324 3月24日(土)10:00~14:00 に、「銚子ジオパーク推進市民の会+千葉科学大学」の主催で、『月例見学会_犬岩・千騎ケ岩・愛宕山』が、犬岩で開催され、40数名のお客様が参加されました。
 今回は、「~市民の会+千葉科学大学」発行のパンフレットにある「エリアB」のジュラ紀の岩体がメインテーマです。 
 朝7:00には、今にも泣き出しそうな空ながら、降雨量はゼロ⇒実施を決めました。今回は、犬岩千騎ケ岩愛宕山の3ヶ所をご案内します。
 スタッフは8:30に犬若青年館奥の広場に集合、(a)犬若青年館前と(b)犬岩前、および愛宕山の(c)展望館入り口に、マスコット・キャラの「超Cちゃん」をあしらった幟旗を立て、犬岩前に受付テーブルを出して、お客様を迎えました。また、テーブルの1台に、スタッフの1人が集めた「愛宕山の岩石+化石標本」を陳列しました。この頃から、絹糸のような氷雨が、また降り始めました。
 三々五々お見えになるお客様の小グループに対応して、随時、1~3名の「市民の会」スタッフがガイドを行います。その内容の概略は以下の通りです。左上写真は、ベテランガイドの犬若海岸での解説。Sengaiwa_120324
 以下で、(*)印は比喩です。 

 (1) 硬砂岩と泥岩、非マグマ起源の流離構造
 (2) 正断層(大構造)と海食洞、
   浸蝕と犬岩ファミリー(*)、
 (3) 正断層(小構造)と犬岩、犬岩の保護
 (4) 火砕流堆積物とアバット(不整合の一種)、
 (5) 名洗層の級化層理と斜交層理、
 (6) 千騎ケ岩(写真右)と空洞、
 (7) 義経伝説(犬岩・犬若岬・千騎ケ岩)、
 (8) 犬若岬と千騎ケ岩の崖地植物、ウミウ、
 (9) 付加体とメランジュと高神礫岩_「日比友愛の碑」周辺 

 今回は、中生代のジュラ紀(約1.5億年前)の愛宕山層を中心に、新生代の新第三紀・鮮新世(約500万年前~)の名洗層、および、後の時代に受けた変容にも触れます。
上記(1)では、犬若岬の弟犬岩(*)で、実際に、硬砂岩泥岩の硬さの違いを、お客様に確認して頂こうとしましたが、足元には投棄された板ガラスが散乱しており、ゴミの不法投棄に遮られる形となりました。弟犬岩(*)の崖上では、ハマボッスタイトゴメの肉厚の葉が、寒さで幾らか紅葉しながらも元気に生育中でした。
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