4月26日(木)午後7時~8時半に、 基礎講座の第2回が開催され、前回に続いて、90名程の参加者がありました。 今回も、教室前に幟旗を立て、テーブルを出して、「市民の会」のスタッフが、千葉科学大の学生さん達 に
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代わって、受付や地学テキストの販売などの事務処理を、講座開始まで行いました。講座開始後は、学生さんにバトンタッチしました。
 
 今回は、前半がゲストの山田勝彦氏の『琥珀の話』、10分休憩を挟んで、後半を担当する安藤先生のテーマは「海岸地形のでき方」です。
 左写真は、採集した琥珀を手に、解説する山田講師。
 ゲストの山田氏は、地元醤油会社の研究所出身で、25年間も琥珀を研究している方です。地元に理系の研究所があることで、銚子では、地学系の民間研究者のレベルも高いものになっているのでしょう。今回の講演は、日頃から犬吠埼で化石の発見に余年のない「市民の会」のスタッフが、フィールドワーク中に山田氏と親しくなって  実現しました。このような出会いは「市民の会」にとって貴重なものです。
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 右写真は、「世界の琥珀分布図」を表示して解説する山田講師。 
 琥珀は、太古の樹木の樹脂が地中に埋もれ、経年変化して化石化高分子化合物化)したもので、半化石状態のものをコーバルと呼びます。世界最古の琥珀は、約3億年前(古生代・石炭紀)のイギリス・シベリア・アメリカ産です。 
 虫入り琥珀としてはレバノン産が最古で、約1億4000万年前(中生代・白亜紀前期)のユスリカの仲間などが含まれています。世界で2番目、日本で最も古い虫入り琥珀は、山田氏の 発見した銚子産 Chosia yamadai で、約1億1000万年前(中生代・白亜紀前期)のハチの仲間が含まれています。虫入り琥珀を研究することで、昆虫の進化の歴史を辿ることが出来ます。映画『ジュラシック・パーク』も、恐竜が跋扈していた白亜紀の虫入り琥珀にヒントを得たものです。
 日本で銚子産に次いで古い虫入り琥珀は、岩手県久慈産の約8500万年前(白亜紀後期)に属するもので、多彩な種類の昆虫が含まれ、銚子に比べて産出量も多く、世界三大琥珀産地の一つです。因みに、世界一の琥珀産地はバルト海沿岸で、約4000万年前(新生代・第三期・始新世)に属します。 
KohakuEturanShimin  銚子の粟島遺跡からは、縄文時代の琥珀製玉類が多く報告されています。因みに、日本最古の琥珀加工品は、北海道の旧石器時代の墓跡から約1万4000年前の琥珀製垂飾品が報告されており、国の重要文化財に指定されています。
 左写真は、休憩時間に、山田講師(中央奥・カメラの方を向いている方)の持参された貴重な琥珀の数々を見学する市民。山田講師は、ご自分の採集された琥珀の数々を受講生全員に回して、触らせて下さいました。
 銚子最大の琥珀は、1989年に長崎海水浴場(酉明浦)で発見された5.1kgのもの(千葉県立中央博物館蔵)だそうです。 
 銚子では今でも、酉明浦辺りに漂着する珪化木の中に小さな琥珀が含まれているが、かつて採取された透明感のある大きなものは君ヶ浜に漂着した、ということです。  また、銚子の琥珀は、国定公園指定以前に掘り尽くされたわけではなく、犬吠埼の岩体の中に埋もれている琥珀は、波に洗われて、今後も、新しく顔を出す可能性があるとは、山田講師の弁。
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 犬吠埼の岩体は、防波堤の役目を担っているので、「琥珀探しに夢中になって破壊することがないように」との注意もされていました。
 恬淡とした人柄と、ウィットに富んで魅力的な語り口に、
45分はあっという間でした。
 山田講師、有難うございました。

 後半の安藤先生は、スライドを使って、先ず原理を、次いで、屏風ヶ浦の洪積台地(下総台地)や利根川河岸の沖積平野について、実例に即した解説を、されました。
 右上写真は、休憩時間に、地質時代区分についての中学生の質問に答える安藤先生。
 下総台地は主として氷河性の海退による海成層の出現、利根川河岸の平野部は氷河性の海進による利根川の氾濫原、とみなされるそうです。 
 
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 雨水の浸食作用では、涸れ谷から谷への深化、谷頭浸食、支谷の分岐による樹枝状の谷系の発達が解説されました。
 ここまで来て、直ぐに思い浮かぶのは、下総台地の航空写真です。とりわけ、磯見川周辺では、この樹枝状の谷系の発達が顕著です。左写真は、Google航空写真で見る八木町~上永井。いくら見ても、見飽きない写真です。この写真をクリックすると、拡大して、ジオポイント磯見川が分かります。
 ここで、 樹枝状の谷系の周りを縁取っているのは森林。河岸段丘の平坦部が、開墾されてキャベツ畑や人家になり、法面には、房総半島に特徴的なスダジイ・タブ・ツバキ・ヤツデなどで構成される照葉樹林が残存。今の季節に、この地域を尋ねると、シイやカシの黄緑色の新芽が、目にも鮮やかです。